CRPGまにあ

Veneticaをクリアしての感想

投稿日:2011/03/20 |  カテゴリー:Venetica  |  コメント:5  | トラックバック:0
VeneticaはドイツのDeck13 Interactiveが開発したシネマティックアクションRPGだ。2009年9月にドイツでPC版が発売され、そこから順次コンソール機版が発売されていったが、英語版が登場したのは2011年1月になってからである。

これまでDeck13は主にアドベンチャーゲームを作るメーカーであったが、映像クオリティーが大手の欧米産RPGに匹敵するシングルRPG市場に参戦することは大きな挑戦であったのかもしれない。大手産のRPGは知名度が高い作品が目白押しなので、一見すると活気溢れるジャンルだと思われがちだが、映像クオリティーに優れたシングルRPGにおいてのシリーズものやナンバリングタイトルではない完全なる新作は随分ご無沙汰状態だったであろう。

開発費が嵩みがちになるこのジャンルでは、資金に富んだ大手メーカーが主導権を握り続けていることが災いし、発売される作品の中身も見た目も恒常化しており、私から見ると現状はあまり価値のない残念なジャンルに成り下がってしまっている。

もはや風前の灯とも言える海外産(主に大手の)シングルRPG市場に、アドベンチャーゲーム作りに手馴れたメーカーが新たな旋風を巻き起こすという意味で、このVeneticaは大変価値があり、興味深い作品だとプレイ前から思っていました。



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実体はシティアクションアドベンチャーな本作

「RPG」と一言では済まされないほどその形は様々であって、定義は無いに等しい。Veneticaの場合、器はRPGであるが、前面に押し出されているのは探索をメインとしたアドベンチャーゲーム的な作風であり、キャラ育成やアイテムコレクションなどでの充足感は、一般的なRPGより劣ってしまう。

探索は昔のゲームでは恒例の「サーチコマンド」があるわけでもなく、オブジェクトに近づいて触ってみるだけという簡単な作りですし、パズル的な要素は一部に存在するが、そのどれもは容易に解けるものばかりである。

映画的な手法を用いるゲームなのでカットシーンの頻度が高く、主役が女性キャラなので見映えがするし、無闇な流血などもなく、映像的に美しくて出来は上々だ。Veneticaはドイツ産なので、流血表現には厳しい国だから全く血が流れないのは有り難かった。(ちなみに私は流血表現過多なゲームは大嫌いである)

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思い掛けない副産物が光り輝く

先述したようにVeneticaはアドベンチャーゲーム作りに長けたメーカーの作品であり、当初はアクションの仕上がりには期待していなかったが、このゲームで最も評価できるポイントは、アクションの滑らかさや、キャラクターのモーションや、操作による優れたレスポンスを実現していることなど、それらを統合したアクション的な要素である。

アクションゲームにおいて、良作の条件として最も欲求されるものは、何より快適で滑らかな動作を実現する操作性である。私は以前、格闘ゲームに傾倒していた時期があり、当時はカプコンとSNKの二強時代であったが、この両社の比較によってVeneticaの魅力が引き立つだろう。

SNKの格闘ゲームは良く出来ていたが、動作的に「もっさり感」が否めず、逆にカプコンの格闘ゲームは滑らかでレスポンスが良好な作品が多かった。この二社の最たる違いはこの部分だと今でも思っていますが、多くのシングルRPGの動作がSNK風である中で、Veneticaはカプコン風の滑らかな動作を実現している。こう例えれば分かってもらえるかもしれない。

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アクションは派手でコンシューマーゲーム寄りだ

複数のアクティブスキルによる連携や、目押しで繋げるチェインコンボなどがあるが、難度としてはとても低く、少し触れば誰でも気持ち良く技が繰り出せるシステムであることも評価できるポイントだろう。当初は襲い掛かってくる敵が強く感じてしまうが、戦闘システムに馴染んでくると、ほぼノーダメージで倒すことが可能となるほどで、ゲームとして最も重要な箇所は「物語の進行」である本作だから、難し過ぎて途中で投げ出したりすることもない。

難しいどころか
・難易度はいつでもどこでも3段階から変更可能
・回復アイテムを連続して使用可能
・バック内でアイテムを使うときは時間が止まっている
・トワイライト値により連続自動復活が可能
・余程のことがない限り、スカーレットは死なない

というシステムなので、前に進めることが当たり前のバランスであるだろう。その反面、難しいゲームをじっくり攻略していく醍醐味は一切無い。あくまでも物語と容易なパズルと痛快なアクションで楽しむゲームだ。



10回以上に及ぶプレイ記でも良作であると唱え続けているし、今回の感想でもここまでは褒め続けているが、悪いところが無い訳じゃない。無いどころか、細かな至らない点は数え切れないほどあるだろう。実例を挙げてみると

・クエストジャーナルを直で開くショートカットが存在しない
・アイテム欄を自動ソートできない
・アイテムは拾った順に上からずらずら並ぶから見づらい
・扉の出入りを行うと、毎回スカーレットの前にカメラが回るから煩わしい
・ランタンのオイルが切れる瞬間に話しかけるなど、意図しない動作を行うと固まることがある
・後半、マップのクエストマーカー表記がバグっている箇所があり

一般的には不都合に数えられなくても個人的に残念だったのは、頼まれごとを受けると、行った事がない場所でもマップにクエストマーカーが表示されたり、この点に関しては他作品もいい加減な作りが散見されるので、至らない箇所に含めちゃダメかもしれないが。

全部が全部クエストマーカー即表示ではなく、物によっては道理に適った一連のクエストパターンもあったし、スカーレットが知らないことなら足で探す必要があるものも。他の記事でもこの点に関しては以前から言及していますが、適当では済まされない重要なトピックである。いきなり目的地や情報を垂れ流しにされると、デザインされた地形やら、作られた物語や、育成でのバランスまでも、それら全てが蔑ろにされてしまうようなものだ。



最後の締めに入りますが、RPGながら「アクション」「アドベンチャー」に特化した作りが幸いし、中途半端で地味な作風が目立つ昨今のシングルRPGの中で、良い意味で異彩を放つゲームだと言えるだろう。

以前に書いた内容と重複しますが、Veneticaを作ったのはBethesdaでもなく、Biowareでもなく、Piranha Bytesでもなく、SpellboundやObsidianでもない。アドベンチャー作りに長けたDeck13が開発した作品というところに、VeneticaのRPGとしての魅力と本質が現れているのだ。
テーマ:PCゲー in ジャンル:ゲーム

コメント

No title

とても興味深く記事を読ませて頂きました。
アイテム欄についてはまったく同意です!種類ごとに並べ替えたりできたらよかったですよね。戦闘は私も最初はコツがつかめずに苦労したんですが、いったん慣れてしまうとなかなか楽しく、コンボとか出せると快適でした!
ストーリーも好きでした。トワイライト世界に入ってベネディクトと抱き合うシーンなんか、じーんと来ちゃったりして。。。
私もほんとにいいゲームに出会えたなって思います。Sさんのブログ記事がきっかけだったので、感謝です☆

No title

>>Mausさん

ご覧いただきありがとうございます。
宝の地図もアイテム欄で無造作に並ぶので、場所の確認でも苦労しましたね。

私もVeneticaのストーリーに好感が持てました。
変にひねる様な事もせずに、ストレートに純愛と勧善懲悪を表現していますし
プレイしていてあっという間に最後まで到達した感触でした。

Amazon deのレビュー数を見るからに、本国ではけっこう売れたようなので
是非ともVenetica 2を見てみたくなりますね。

No title

クリアされたんですね、おめでとうございます!
日本で販売された直後に購入して、楽しみながら(かつ全く同様の不満を感じながらw)一気にクリアまでプレイしましたが、北米レビューやら国内でも「洗練されていないからダメ」的な意見を目にしてションボリしておりました。
ADVとしてのストレートな内容や、楽しい探索要素、小気味良い戦闘など十分に良作だったと思います。

因みに… グッド、バッドの他、第三の隠しエンドがあるという話も(!)

No title

>>けんさん

ありがとうございます。
私も英語版発売直後に購入したのですが、合間に他ゲームをプレイしたのでクリアまでに時間が掛かってしまったけど、ゲームとして純粋に面白かったです。本文に書き忘れたのですが、優美かつ力強いBGMは、ここ数年内にプレイしたゲームで最も印象に残ったかもしれません。

評価の件ですが、北米は名門とされるメーカー以外のゲームを淘汰しようとする傾向がありますし、気にされなくても宜しいかと思いますよ。何というか、万人が認められるがっちりと型にはまった物しか受け付けないような。或いは、昨今の流行や自身の理想にそぐわなければ酷評するような。

私も少なからずその節がありますけど、やっぱり良いところを評価したいです。

エンディングがそんなにあるとは!
バッドは復讐心を胸に利己的な選択ばかりすれば辿りつけそうだけど、隠しエンドは気になりますね。

No title

解りやすい記事でした

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好きなジャンルはRPGとAVG。
RPGはファンタジーと近未来ものを好み、設定が現代なのは敬遠する傾向にある。基本的にRPGのタイプに好き嫌いはない。プラットフォームも楽しい作品ならばPCでもゲーム機でもどちらでもOKだと思っているが、今はPCのみに傾倒している。生産国は今現在、北米産は経営体制に疑問を抱いているので敬遠している。

AVGことアドベンチャーゲームは、ゲームにおける私の原点です。AVGは現代物を好み、特にサスペンス、推理ものなどが好きだが、PCではそのような日本生まれの新作は長らく登場していないのでご無沙汰状態だ。海外ゲームの移植版ならある程度はプレイしているし、英語版でもいくつかは頑張ってプレイしてきた。RPGとは逆に、設定がファンタジーや近未来ものは敬遠する傾向にある。

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